We Three Kings|歌詞・和訳・意味を解説【黄金・乳香・没薬】

We Three Kings
Words and music by John Henry Hopkins Jr.

この作品について

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『We Three Kings』は、米国聖公会の聖職者John Henry Hopkins Jr.が詞と曲を手がけた、東方の博士たちの来訪を祝う公現祭のキャロルです。『マタイによる福音書』に登場する博士たちを三人の「王」とし、幼子イエスへ贈り物をささげる場面を歌にしています。1857年作と広く紹介されますが、現在確認できる同時代資料では1858年末に「新作」として告知・演奏され、1863年に作者の曲集『Carols, Hymns, and Songs』へ収録されました。ここでは、五つの節とリフレインからなる本文を扱います。

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冒頭では「私たち三人の王」と歌っていた声が、贈り物の節に入ると「私は黄金を」と一人称単数へ切り替わります。対訳では、この「私たち」から個々の「私」への声の交代を追ってみてください。同じ星を追う集団が、少しずつ別々の人物として立ち上がります。

対訳

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We three kings of Orient are;
Bearing gifts we traverse afar,
Field and fountain, moor and mountain,
Following yonder star.

Refrain
O star of wonder, star of light,
Star with royal beauty bright,
Westward leading, still proceeding,
Guide us to thy perfect light.
私たちは東方の三人の王。
贈り物を携え、はるかな道を越えてゆく。
野を、泉を、荒れ野を、山を越え、
あの星のあとを追う。

おお、不思議の星、光の星、
王者の美しさで輝く星よ。
西へ導き、なおも先へ進み、
完全な光へと私たちを導いておくれ。

Orient 古いヨーロッパ中心の表現で、ここでは東方を広く指す

traverse afar はるかな距離を越えて進む

moor 木の少ない荒れ地

yonder star あそこに見える星

still proceeding still は「静かに」ではなく「なおも、ずっと」の意味

perfect light 旅を導く星の光と、キリストの光を重ねうる表現

Born a King on Bethlehem’s plain
Gold I bring to crown Him again,
King forever, ceasing never,
Over us all to reign.

Refrain
ベツレヘムの平野に王として生まれた方。
私は黄金を携え、その王権をたたえる。
永遠の王、決して終わることなく、
私たちすべてを治める方。

crown Him again 黄金によって新しく王にするというより、すでに王として生まれた幼子の王権をあらためて認め、たたえる表現

Frankincense to offer have I;
Incense owns a Deity nigh;
Prayer and praising, voices raising,
Worshipping God on high.

Refrain
私は乳香をささげる。
香は、神が近くにおられることを認める。
祈り、たたえ、声を上げ、
いと高き神を礼拝する。

Incense owns a Deity nigh own は「所有する」ではなく「認める」。香そのものが、近くにいる神を認めるように描かれている

Myrrh is mine, its bitter perfume
Breathes a life of gathering gloom;
Sorrowing, sighing, bleeding, dying,
Sealed in the stone cold tomb.

Refrain
私の贈り物は没薬。その苦い香りは、
深まる暗がりに包まれた生を思わせる。
悲しみ、嘆き、血を流し、死に、
冷たい石の墓に封じられる生を。

myrrh 没薬。香料として用いられ、ここでは受難・死・埋葬を予告する

gathering gloom 暗さや不吉さが次第に深まっていく様子

Glorious now behold Him arise;
King and God and sacrifice;
Alleluia, Alleluia,
Sounds through the earth and skies.

Refrain
今こそ見よ、この方が栄光のうちに立ち上がる。
王であり、神であり、いけにえである方を。
アレルヤ、アレルヤと、
大地と空に声が響く。

King and God and sacrifice 黄金・乳香・没薬が示してきた王権・神性・死を、一つにまとめる句

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解説

三人の独唱が一つの告白になる——『We Three Kings』の劇的構造

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『マタイによる福音書』が記すのは、東方から来た博士たちと、黄金・乳香・没薬という三種の贈り物です。博士の人数、王という身分、三人の名前、贈り物の象徴までは聖書本文にありません。本作は、数世紀かけて育った「三人の王」の伝承を受け継ぎながら、それを説明文ではなく、声が交代する歌に作り替えています。

初期の楽譜では、第1節と第5節を三人がともに歌い、その間の三節をGaspard、Melchior、Balthasarが一人ずつ受け持ちます。リフレインには四部の声が加わります。つまり、紙面上で同じ形に並ぶ節は、実際には合唱から三つの独唱へ分かれ、再び合唱へ戻る小さな舞台として設計されていました。

その動きは代名詞にも刻まれています。旅の始まりは “We three kings” ですが、贈り物を差し出す場面では “Gold I bring,” “Frankincense to offer have I,” “Myrrh is mine” と、三つの「私」が順番に前へ出ます。過去の出来事を遠くから説明するのではなく、歌い手が今ここで贈り物を差し出す現在形の劇になるのです。

しかも、贈り物は横並びの品物ではありません。黄金はすでに王である幼子へささげられ、乳香は近くにいる神を礼拝し、没薬は血を流して死に、冷たい石の墓へ葬られる未来を呼び込みます。順番に聞くと、歌の時間は降誕の夜から王権、礼拝、受難、埋葬へ進んでいきます。

最も大きな転換は最後の節です。“Glorious now behold Him arise” が墓の暗がりを破り、“King and God and sacrifice” が三人の独唱で分かれていた意味を一行へ集めます。黄金の王、乳香の神、没薬のいけにえは、ここで一人のキリストを指す三つの名になります。三人の声が一つの告白へ戻る瞬間です。

同じリフレインが各節の後に戻ることにも意味があります。最初の “perfect light” は旅人を導く星の光として聞こえますが、王、神、死、復活を通過した後には、キリスト自身の光まで重なって聞こえるとも読めます。言葉は反復されても、その前に何を聞いたかによって意味が深くなります。

『We Three Kings』の力は、三つの贈り物の意味を暗記させることだけにありません。「私たち」が三つの「私」へ分かれ、それぞれの未来を語り、最後に再び一つになる。その声の運動によって、幼子を訪ねる短い場面が、受難と復活までを含む物語へ広がっていくのです。

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原文全文

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We three kings of Orient are;
Bearing gifts we traverse afar,
Field and fountain, moor and mountain,
Following yonder star.

Refrain
O star of wonder, star of light,
Star with royal beauty bright,
Westward leading, still proceeding,
Guide us to thy perfect light.

Born a King on Bethlehem’s plain
Gold I bring to crown Him again,
King forever, ceasing never,
Over us all to reign.

Refrain

Frankincense to offer have I;
Incense owns a Deity nigh;
Prayer and praising, voices raising,
Worshipping God on high.

Refrain

Myrrh is mine, its bitter perfume
Breathes a life of gathering gloom;
Sorrowing, sighing, bleeding, dying,
Sealed in the stone cold tomb.

Refrain

Glorious now behold Him arise;
King and God and sacrifice;
Alleluia, Alleluia,
Sounds through the earth and skies.

Refrain
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原文出典

Wikisource — We Three Kings of Orient Are

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参考資料

David W. Music — “We Three Kings,” Hymnology Archive

HathiTrust — Carols, Hymns, and Songs

Matthew 2:1–12, NRSVUE

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更新履歴

2026年9月5日:作品研究、解説、対訳、注釈、出典を統合して公開準備版を作成。

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